MFT#012 『DARK』

f:id:tomaton-tt:20200513000454j:image

Netflixのオリジナルシリーズである、ドイツのSFドラマDARK。

いわゆる海外ドラマというジャンルは多くの人がそうであるようにストレンジャーシングスを見て引き込まれたクチであり、その後、ゲームオブスローンズ、シャーロックと続いた後にたどり着いたのがこのDARKだった。

ちなみにストレンジャーシングスを見ようと思ったきっかけは、名古屋の友人である映画好きのとあるDJがグッズを身につけていたことから。

 

そもそもNetflixのオリジナルシリーズはラブ、デス&ロボットが確か最初に見たもので、海外アニメならではのSF感やエキセントリックな表現に惹かれた。オリジナルシリーズ故のぶっとんでる感、許される感はこれらのサブスクサービスの魅力に思う。アマプラだと全く別ジャンルだけどドキュメンタルも、そこでしか許されないという意味ではサブスクの醍醐味だろうか。

 

(以降、若干のネタバレ含む)

 

さて、このDARKという作品だけど、名が体を表すというか、ひたすらに重く、暗く、地味(最初はね)な作品である。原子力発電所にその存在の維持を大きく依存するとある田舎町で巻き起こる失踪事件、それを発端に明らかになるそこに絡み合う4家族かつ3世代にわたる非常に複雑で陰鬱な人間関係。

みんながどこか脛に傷を持つような後ろめたさを抱えた彼らは、タイムトラベルという非現実的な現象にその生き方までも捻じ曲げられていく、そういう作品。

 

序盤を見ていた感想としては、ストレンジャーシングスと似てる感じだなー、でもめっちゃ暗いしストーリー地味だし結構見るのしんどいなーと言ったもの。それがシーズン1の5話あたりに差し掛かってからは続きが気になって気になって仕方なくなり、しかも恐ろしいことに話が進むごとにどんどん新しい謎が開示されストーリーが複雑化していく、そして引き込まれて行くというスルメ的なドラマである。

 

このドラマが非常にチャレンジングであるのは、タイムトラベルをテーマとしたSFにおける最大の禁忌を犯し、それをむしろ主軸に据えることで物語の重厚感を圧倒的にしているところにある。これに関してはあえて明言はしないので是非作品で確認してほしい。

 

この作品において白眉なのが劇中を彩るサウンドトラック。そのどれもにどこか影があり、ひんやりとした空気感を伴い、非常にヨーロッパ的な乾いた陰湿さを加味する。中でも素晴らしいのが主題歌であるApparatの『Goodbye』

https://youtu.be/TJ4INx5lfe4

 

そして、シーズン1、エピソード3の非常に象徴的なシーンで流れるAgnes Obelの『Familiar』

https://youtu.be/32kYH6XZrIo

 

前者は必ずスキップせずに毎度聴いていたほどに、そしてそれを聞いてからストーリーに進むことで没入感を得られるほどにドラマと親和性が高く、後者は舞台となるヨーロッパの冷たげな森林の荘厳さと不気味さをよく引き立てている。

そして出演する演者も一癖あるというか、しばらく慣れるまで顔が覚えられない程度に、絶妙に特徴を掴み難い風貌をしていて、それもまた物語の雰囲気に合っている。

 

とにかく、出だしは地味だけど進めば必ず面白くなること請負なので見て欲しいドラマ。

 

シーズン2最終話でまた物語の根底をひっくり返すくらいのことが起きてしまったので早くシーズン3出してくれ!と願い続けている。