MFT#006 ローリング☆ガールズ

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2015年1月から3月にかけて放送されたアニメ。新進気鋭のアニメ制作スタジオ、WIT STUDIO初の完全オリジナルアニメーションだった本作、特別な能力のない「モブ」の女の子4人がそれぞれのバイクに跨って、全国各地の能力者「モサ」たちのお悩みを解決しにいくという青春なストーリーと、tanu先生の激烈に可愛いキャラデザが特徴で、僕は第一話を見た時からそのワクワク感、グリグリ動くアニメーションに完全にはまり込み、はじめてブルーレイで全巻揃えたアニメとなった。

 

ちなみにWIT STUDIOはその初作で進撃の巨人のアニメを手がけ、ギュンギュン動くアニメーションと作画が崩れない安定感のある画面で確かな地位を得た制作スタジオで、その後も伊藤計劃3作アニメーション化企画の一発目『屍者の帝国』や、『甲鉄城のカバネリ』などカラーの強い作品をしっかり仕上げ着実に支持を得ているように思う。

昔に比べるとアニメを観なくなったけど、それでもWIT、BONES、TRIGGERの名前を見るととりあえず観ようかなと思ってしまう、それぐらいの感じ。また、キャラデザを担当しているtanu先生は、『フリップフラッパーズ』でその名前を想起する人も多いかと思う。淡くも幻想的なタッチで柔らかな女の子を描くイラストレーターで僕はめちゃファンである。ただ可愛いだけじゃなくてキャラクターのデザインが非常に上手く、オタク心をくすぐる部分と可愛さ、キャラ立ちを絶妙なバランスで成立させている。

 

この作品の実に小憎いところは、全編を通して挿入歌に主人公4人が歌うブルーハーツのカバーがたくさん使われているところで、彼女らが乗るバイクのチョイスも含めて、男オタクが好きなものを可愛い女の子にやらせたら最高だ、という逃れられないオタク思想の顕現であるところである。要所要所で使われる月の爆撃機には毎度胸が熱くなる。

これは女の子にキャンプやらせて激流行りしたゆるキャンや、女の子を戦車に乗せて激流行りしたガルパンと同じ思想に基づくものにも感じる。そういった意味でかなり激流行りする要素を秘めた作品だったと思うのだが、全体を通して緩やかで平和的な空気が派手さを求める層に響かなかったのか、あまり当たらなかったように思う。とても悲しい。今のご時世難しいけど、深夜という枠じゃなくて普通に土曜の朝(エウレカとかの枠)で観られたらその爽やかさと相まってもっとハマってたのかなぁと思う。

一応WITから出している資料集は3冊とも揃えた。特にtanu先生の画集はファン垂涎で、使われなかったキャラクターデザインを見ながら、OVAでもいいから続きが見たい…と涙したものだったが今のところ叶わない(テキストとしては小説がコミケで出ていたはず、買い損ねた…)。

途中若干背景のテイストが変わったりして画面が見辛くなった時期もあり、リアルタイムで追っていた人たちもそのタイミングで少し離れていってしまったように思うが、腰を据えて改めて見て欲しいと思う。

 

各地を巡る、というストーリーだがスタートからして所沢などなかなかローカルなチョイスで、次の土地はどこだろう?というワクワク感が毎度楽しかった。ちなみに僕はド地元の愛知・三重で2話も使ってもらって大地讃頌した。1話に登場した所沢のラーメン屋、「まぼろし軒」は実際に行ってラーメン食べた。とても美味しかった。めちゃくちゃキョドりながら写真も撮らせていただいた。家宝。

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また、円盤に特典として付属しているオーディオコメンタリーが本当に素晴らしく、序盤から張られていた伏線だったり、ストーリーで語らなかったであろう細かい部分をしっかりと語ってくれるもので本当に聞き応えがある。2度美味しい。是非ファンは円盤を手元に置いて欲しい作品。tanu先生の描くスリーブがまためちゃくちゃ可愛い。アニメの円盤はものすごく単価が高いだけあって、それを手元に置く価値を高める方向に頑張っている作品が多くて、それはとても美しいことだなと思う。

 

将来子どもが出来たら子どもにも見せたいアニメ第1位です。死ぬまでに続きが見たいな…。