2023年を振り返る(映像活動編)

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さて、気づけば2023年も終わりが近づいてますね。

今年は自分としてはかなり久しぶりにものづくりに力を注いだ年で、振り返ってみるとクソ忙しかったけど充実してたなと思います。

 

せっかくなんでいくつかテーマに分けて今年を振り返ろうと思っていて、まずは今年の辻の活動の最たるものである、映像制作の話をしたいなと思います。

よろしくお願いします。

 

昨年の10月?ごろに友人2人とin-factoという映像制作チームを立ち上げました。立ち上げたというとなんか大層ですが、まぁ始めたということです。このチームはホラー映画が好きなメンバーでのみ構成されており、当然アウトプットもホラー映像となりました。

https://in-facto.jp/about

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初期メン3人 このあとosdくんが合流する

主に撮影を担当するykpyくんとは大学のサークルの同期で、演者が多い藤本くんはもともとykpyくんの音楽友だちからつながりが始まり、今は猫を堕ろすのサポートでギターを弾いてたりする感じ。

4人目のメンバーとして合流したosdくんはサークルの後輩(所属してた時期はかぶってないけどなんか友だち)で、米を一合ピッタリ出すボタンがついた米びつみたいなよくわからないガジェットをたくさん持ってるナード。

みんな東京の友だちです。

 

音楽をやってた人間たちがなんで映像を撮ることにしたかというと、始まりはこのMVでした。

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編集をSuspended 4thのサワダがやってる これも音楽の友だち

これの撮影をするために初めて絵コンテ描いた上にカメラを買ったのが、猫を堕ろすのシンセ&ボーカルのykpyくんであり。

僕は撮影に手伝いで呼ばれ、なんかよく分からないですが猫?人間?とかいうの?をやらされたりして、大変ながらもワイワイと作品を作ったわけです。

それからしばらくして、ykpyくんはなんかイケると思ったのか、映像を撮ることに手応えを感じ始め、そのままなんかの勢いでみんなホラー好きだよね?じゃあホラー撮ろう!となりこのつらすぎて少しだけ自尊心が満たされる活動も始まったわけです。

 

今年はin-facto的には盛り上がりもあった年ではありました。一時期YouTubeくんのアルゴリズムに気に入られて、特に広告も打たないけど動画がグイグイ伸びてた時期があって、その時には「広告打たなくても自治がちゃんと機能してフックアップしてくれるプラットフォーム最高〜」とか思ったりしてました。

このまま行きゃあ半年後には収益化行けるなと指数関数的に伸びていくような皮算用曲線を脳内でシミュレートしたりもして、まずは撮影機材をペイ出来るとこまで行きてぇ〜とあんまりやる気を全面に出さないタイプの情熱を燃やしてましたが、まぁアルゴリズムさんは気まぐれなのである日突然見向きもされなくなり、再生回数も0/日みたいなのが続いて、結局今も特に金にならないチャンネルだけがあります。

この時は思わず「YouTube シャドウバン」でSNSとか検索しました。なんか被害妄想のYouTuberがYouTubeの公式アカウントに凸ってるのしか捕捉できず己を恥じました。

そんな感じで、今んとこ社会の毒にも薬にもならない感じでやってきたin-factoですが、一応今年は10本動画を上げました。全員サラリーマンだと思うとかなり健闘なのではないでしょうか。

僕はこの活動で、1人でも多くの人に対して「何気ない日常での嫌な緊張感」を与えることに心血を注いでいます。ファンタジーが昔から大好きで、漫画を読んでは自分ならどういうキャラクターとしてこの世界で生きるのか、みたいなロールプレイ妄想を膨らませつつ育った僕は、とにかく日常にファンタジーをもたらしたい、その方が絶対に楽しいという決めつけで生きていて。

ホラーって一番日常に近いファンタジーだと思ってるので、それをめちゃくちゃ生活に寄せていくことで、見た人をみんなファンタジー側に引き込んで楽しく暮らしたいと思ってこの活動をやっております。

今のところ、「すべての作品で違う嫌さがある」「最悪」等お褒めの言葉多数。励みになります。

せっかくなので2023年に作った作品を一本づつ振り返っていきましょう。

1月公開 傘

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作品群の中でもかなり異色な映像だと思います。in-facto作品は、基本的にジャパニーズホラーをやりつつ、映像表現としては洋画の空気感を引用する、みたいな作り方をするのですが、この作品については全てを洋画っぽくした作りにしています。冒頭のシーンなんかも、洋画あるあるのカウチポテトっぽさを目指していたり、全編を通じて効果音等もカラッとしたものを使用するようにしています。また、怖さと同時にキャッチーさ、バカバカしさを加えることでスプラッタ作品みたいな肌触りを目指しました。傘をバキバキにしたり血まみれにしたりしているのもそう言ったものへの志向です。あんまり露骨なものは映さないことが多いですがここではあえて、という感じで。なんかメロコアみたいだなとおもったので、スタッフロール用にそれっぽいイラストを描きました。

脚本は大体僕が書いていて、「傘って当たり前のように半公共物のような扱いを受けているけど、その割にシェイプに殺意がある」みたいな会話をヒントに膨らませて行った記憶があります。何気なく玄関先に干してたりする傘だけど、仮にそれを誰かが持ち去って悪いことに使っても気づけないのがなんか怖くないですか?

傘がより強い悪意で借用されるごとに、支払われる金額も増えていく。目に見えない誰かの不幸は対価が支払われれば黙認できてしまうよね?という他人に対するドライさをちょっと露骨に嫌な人格のキャラクターを主人公に据えることで表そうとしています。

ちなみに四人目のメンバーとなるosdくんの初仕事もこの作品です。

絵コンテは藤本くんが描いてくれていて、こんな感じで脚本、絵コンテ、撮影が全員別とかも良くあるのがin-factoです。なかなか難しいですが、少人数活動のサステナビリティを担保するために、いろいろな作業を交換可能にしていくのがポイントだと思ってます。

アウトロ作ってくれた澤田もありがとう!

 

2月公開 車中泊

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原案in-facto、脚本、絵コンテ辻です。いくつかフックの効いたテーマを続けてきたところだったので、もっとシンプルに何が怖いか考えてみよう、というところに立ち返ったのがポイント。でもそれだけでは独自性が足りないと思ったので、「車中泊自体めっちゃ不気味じゃない?」というところからこれだという転回が出るまでひたすらみんなでブレストした結果、車中泊=孤独だから怖いという前提をひっくり返して、そこに人が来た方がもっと最悪になる、という結論が出せたので形になった作品です。ここまで出した後に三人がそれぞれプロットを持ち寄り、辻が統合する形で作りました。

これはファウンドフッテージをストレートにやることを目的としていて、呪詛、コンジアムやREC等の作品からの影響が強いです。あんまりストーリーを描き切ることはしないで、イメージとしてはお話の真ん中80%くらいを映像に起こして、前後の余白を残す作りが好きなんですが、これは怪異の正体の現場まで乗り込んで、しっかり最後まで描く作りにしました。これも前述した作品のシステムを借用するのが目的だったからです。海外のこの手のホラーはだいたい最後に狭い道を通った先で悪魔崇拝の祭壇とかが出てくるので、それを横付けした車の中に作ることにしたわけです。車の窓にはたくさんの人間の名前と意味ありげな地図の写真が貼られていたり、男女問わない複数名の私物が車内に落ちていたり。最後のシーンは明らかに実在感のある恐怖のシーンですが、ではあの人たちは実在するのか?あの車は本当に現実のものだったのか?の部分を曖昧にするのが自分なりのポイント。

in-facto作品で一番再生されてるのもこれです。一万回も見てもらえるとは思ってなかった。

言ってしまえば、撮れればほぼ終わりみたいな作品だったので、いかに場の雰囲気をきちんと作り上げられるかにエネルギーを割いています。場所の選定も僕がしていて、一時期航空写真狂い※だった時の経験を生かして、ほどよく人が通らないけど、山奥すぎて通報されるとかがない絶妙なラインの駐車場をいくつかピックして撮影に臨みました。

※地下性の昆虫や土壌生物にかなり熱を上げていた時期に、毎日Googleマップの航空写真を見ながら地形や地質を見比べて、そこで採れる生き物を想像する作業をしていたので、地形図と航空写真でなんとなく土地の雰囲気がわかるようになった。やっぱ全て繋がってるんすわ。

大変だったのが天気で、何をとち狂ったか前日にその冬一番の大雪が降って結構ちゃんと東京も雪が積もり、今回ばかりは撮影断念か、というところまで追い込まれました。が、なんとかバックアップで雪の影響の少ない土地を探して撮影できました。バックアップの場所のがロケーション良かったので結果オーライ。

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朝ぼらけかな

朝になって早朝登山老人の車が駐車場に来始めたあたりが最高にギリギリでしたね。こちらは明らかに異常な車なので通報されなくて良かった。

 

3月公開 似顔絵

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制作体制が変わり、辻、ykpyの2人で撮った作品です。人手が減ったので、より不確定要素を減らしつつ、撮影側に立たなきゃいけないので演者は自分たち以外にお願いしないといけないというのがポイントの作品でした。脚本、絵コンテ辻。

絵描き役のにっしーさんが撮影場所のアトリエも提供してくれるとなって、より一層作品のイメージが固まったのが記憶にあります。モデル役の伶菜さんはこれまた音楽繋がりの友人で、マジで音楽関係の友人で全て成り立ってるコンテンツです。

とにかくテイクを撮り切れるようなストーリーにするために、セリフを一切使わないことに決めたんだけど、これは表現について考える上で一つ面白い挑戦だったなと思います。NujabesみたいなピアノBGMがいいっすよねぇ。一番アートな肌触りの作品になったかもしれない。光がしっかり当たるロケーションだったので、光の表現の統一に苦労した記憶。あと、映像に映らないのに大量の知らん人の似顔絵を描いてた前日の夜がかなりメンタルに来ましたね。こういうのは映らないけど全部描くのがやっぱ大事だと思うんすわ。呪いを込めなきゃホラーにならないんで。モノづくりにおいて脳筋なので、苦しんで産むことで血が通うと思っている節がある。

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https://www.thisman.orgのTHIS MANがモチーフ

 

4月公開 セラピー

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新メンバーとしてosdくんを迎えての初めての映像。割と映像が見られていた時期だったので、一回小難しいもの作ってみるか、となり作った作品。結果としてまぁ一番見づらい作品だとは思う。

3人でプロットを考えてる時に、会話の微妙なすれ違いやズレが折り重なって嫌なことが起きたら厭だね、という話で盛り上がって、その場で3人のパーソナリティだけ軽く決めて実際に本番みたいなディスカッションをして、それを少しだけ脚本として整えて映像化してます。途中何箇所か、論旨と関係のない話に脱線するんだけど、これは実際にディスカッションをやった時に出てきたものをそのまま採用していて、そういう生っぽさが気持ち悪く見えていれば成功かなと思っています。

絵面としてあまりに地味だったので、最初に3人の結末を提示することで、オチに向けてどう話が動くのか?というところに興味を持たせてゴールまで牽引する、という作りにしています。たった30分程度の打ち合わせで各々の死生観みたいなものが色濃く出たのが、in-factoっぽさなのかなー。

最後のykpyくんがバケツに突っ込まれるシーンが思ったより生々しいですよね。撮ってる人間から見るとまぁ笑えるんですけど、なんも知らん人が見るとちょっと怖いかもですね。

 

5月公開 裏/表

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2本セットの作品。原案から絵コンテまで大体辻。幽霊側の気持ちに立ってみようと思って書いた脚本です。この世の全てのことって、一面だけでは分からないじゃないですか。僕らが幽霊だと思って恐れてるものも、幽霊側から見た時どういう事情があるんだろう?というのは思ったりしますよね。現実で起きていることもそうだと思ってて、どれだけ悲惨な出来事や事件があったとしても、自分を正義と断定して糾弾することは僕は出来ないなと思うことがよくあります。特にSNSとかでよく見るじゃないですか。不祥事とかに対して強い言葉を浴びせたりしてる人。自分がそうならないと思ってるからなのかなと思うんですけど、本当にそうなんですかね?正義のルールが変われば箸落としただけで死刑かもしれないわけじゃないですか、自分はそういう気持ちでこれを書きました。そうならないように気をつけよう、という戒めでもあります。

映像としてはとてもコンパクトにまとまっていて好きです。ジンくんが上手に演技してくれたおかげで「裏」はいい空気感が出ているし。コップの氷が溶けて、カランっと鳴ることで現実に戻ってくるシーン、あの画角めっちゃ気持ちいいですよねー。全体的に気持ちいい絵が多い作品です。

「表」はとても限られた空間の中でいかに絶望感を出せるか、というチャレンジでした。どこまで表現できたかは分からないですが、ブザー音が鳴って人が引き摺り込まれるシーンとかはあのワンシーンだけで世界観を色々示唆できるものがあって面白かったかなと思います。意外とコメントで裏表の繋がりを考察してくれる人が多くて嬉しかったですね。

 

7月公開 調査報告:L市

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以降、特殊清掃までの3本で、壺三部作と内部的に呼ばれている作品群の1本目です。三部作それぞれで脚本を分けていて、これはosdくんの脚本です。重層的で見応えがありますよね。

この3本をシーズン1の締めにしようという話は元々していて、共通するチャレンジとして、一つの怪異をベースにオムニバス形式で世界観を作っていく、というものがありました。まぁ要するに近畿地方のある場所について(https://kakuyomu.jp/works/16817330652495155185)です。ではその根幹に横たわる怪異を何とするか、というのがなかなか難しかったんですが、壺というキーワードが出たことでみんなのイメージが具体化できてなんとかなりました。

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“壺”ができるまで

突き詰めていくと、「悪意を集めていくことで大きな呪いが成就できる」という話でその媒体として使われるのがこの壺のアイコンです。色々デザイン考えましたが、程よくカッコよく、不気味なのができて満足です。ただ、壺だけだと作品同士の緩やかな結び付けには多分物足りなくて、もう一つトリガーになる「ご苦労様です」というワードが出せたのが大きかったですね。

この作品は今までで一番舞台が多い作品で、事前準備が大変でした。作るものが多いので、最初の報告シーンのスライド作りは藤本くん、途中の2chもどきのコーディングはosdくん、みたいな細かい分担がされています。このチームはウェブ関係の仕事をしているメンバーが多いので、結構ちゃんとしたクオリティのインターネット小道具が作れるのが強みですね。ちなみに僕は2chもどき3スレッド分のテキストを全部書きました。誰もちゃんと読んでないと思うんですが、「庭師になる」スレのあの頃の自分語りスレ感がかなり秀逸だと思ってるので、暇すぎる人は動画を止めながら読んでみてください。

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ウェブに吐き出しやすいように、スプレッドシートで管理されてます

いっぱい悪口が並ぶシーンのためにGoogleフォームを作ってみんなから悪口を募集したんですが、定期的にドカドカ量を投げ込んでくれる人がいたりして、いい世の中やなぁと思いました。

自分も役者で出てるので、演技ポイントを二か所話します。一個目はスレを読み上げてるところで、あれは動作と声を別撮りにするととっても編集が大変なので、演技含めた一発撮りです。マウスの動かし方、スクロール幅など色々こだわりポイントがあって、ここら辺はリアリティと見やすさの両立のために、情報伝達を仕事にしてる身として頑張った感じがあります。

もう一か所はラストの発狂して走り去るシーンですね。走り去った後に訳のわからないことをわめているんですが、これは別撮りです。ご安心ください。流石に夜中の団地で騒ぐのはね。。

編集中にykpyくんの家のクローゼットで適当なことを喚いたのが使われてます。人んちで急に大声を出したりできます、そういう仕事待ってます。

 

8月公開 健康生活 セラピーV

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藤本くん脚本が冴えまくってる作品です。藤本くんはチームの中で一番受け手のことを考えてモノづくりをしているのでキャッチーなものを作るのがすごく得意です。ほんで、悪趣味なものも得意ですが、受け手のことを考えてるのでちょうど成立する温度感になるんですよね。これは才能だと思います。

今まで友だちに頼りまくってきたin-factoチームですが、これは初めてアマチュアの役者さんを起用して撮った作品です。藤本くんが見つけてきてくれた役者募集サイトで募集したんですが、ホラーで黒いものを口から吐く、なおかつ50代以上っていうニッチな条件にもかなりの応募があって驚きました。その中である程度ニュアンスを汲んでくれそうなお二人に依頼をしたのですが、想像以上に仕事がやりやすくて助かりました。どうしても心労が多くなるんで腰は重いんですが、もっと外部の人とも映像作っていかなきゃではあります。

後の編集がありえんほどきつかった作品でしたね。テレビ番組にする、というテーマがあったので、細かい字幕作業や映像素材の追加等等、普段の制作の五倍くらい作業が多かったです。流石に自分も映像をいじれるちゃんとしたPCを持とうと思いました。

この作品での辻の仕事はあんまり無いですが、作中で登場する小説「ルビンの思惑」のカバーデザインをしてます。昔zineとか作ってたので、紙物の印刷にはこだわりがあって、ちょっとだけお金をかけて作りましたが、いい仕上がりで満足です。

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当然そでの作者紹介とかは映らないんですが、せっかくだしここまで作りたいですよね。フォントが清潔で気に入ってるんですが、何使ったか忘れました。思い出したい。

あ、あと黒い液体を作ったのも僕。これも地味に黒さ、味、とろみなどにこだわりがあります。

この作品は三部作の中で一番「壺」の影が薄いんですが、実はコンセプトとしては一番根幹に迫っている作品かもしれない。映像の中にもちゃんと壺の貼り紙が映り込んでいるので興味のある人は探してみてください。

 

10月公開 特殊清掃

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辻脚本の作品です。三本の中で一番暗いのが特徴です。三部作は全ての撮り始め前にプロットは揃っていて、その中で実現可能性順で撮られてるんですが、この作品はゴミ屋敷を作るという一点のハードルで最後に回されていた作品です。この作品のために二ヶ月空のペットボトルを溜めてて、普通に奥さんに嫌がられました。

あまり美術で頑張る作品は避けていたきらいがあります。それは誰も専門家がいなくて必ずボロが出るのがわかっていたからでもあります。この作品は、苦手意識のあった美術を頑張ってみようという裏コンセプトもあった作品でした。ロケ地はセラピーVと同じで、作中で明示されてませんが、一応セラピーVのうん年後、みたいな設定でもあります。ロケ地が同じだったことと、このロケ地自体にかなり場所としてのパワーがあったために、なんとかゴミ屋敷っぽくすることができました。

ストーリーとしても、三部作を締めくくるような、ゴールを少し見せた感じの話になっています。同じ部屋の中をぐるぐる回っていくとどんどん部屋の様子がおかしくなっていく、というストーリーですが、これがなかなか難しくて。細かい小道具をどうするか、映像としてどうするかなど撮影難易度も高く、この一年の集大成になったのかなと思います。

一人称視点なのでバレないようなカットの切り替えが難しくて、露骨にならないようになんでも無いところに編集点を入れたり、気合いで長いテイクを撮ったり、汗をかく部分が多かった作品です。

家というロケーションをフルに使ったという意味では呪怨っぽくもあるし、あとはアリアスター作品の影響を受けて画を作っている場面が幾つかあります。例えば、黒いペットボトルが廊下に点々と並ぶシーンはヘレディタリーのラスト、全裸の人間が並ぶ中ツリーハウスへ主人公が向かうシーンのことを考えていたし、ラストのosdくんが横たわっているゴミ山は、頑張ってミッドサマーのグロさと荘厳さを併せ持つ感じを出そうとしました。あとは多重人格探偵サイコの脳に花植え付けられている遺体とか、PSYCHO-PASSの二期だったかの、人間バラバラ芸術作品みたいなのとかをコンセプトイメージとしては持っていました。

そこら辺を引き合いに出しちゃうと全然作り込みが足りないっすよね。精進します。

演技はuskeyさんがとても頑張ってくれてきっちり撮れました。やっぱマインドが同じ人とモノを作るのは楽しいです。

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みんな頑張ったな〜って感じの集合写真

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名札。ほぼ映ってませんが。

 

こんな感じで、なんとか2022年9月から約一年で13本の作品を作ることができました。2024年はシーズン2撮るつもりなんで頑張ります。

大変だったけどとっても充実感のある活動でしたねー。みなさん今後ともin-factoをよろしくお願いします。

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毎回地味にきつい香盤表作り。でも楽しい作業でもある。

 

ご苦労様です。