2022年良かった漫画10選

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表題の通りです。

漫画を読むのが好きで趣味といって憚らないのですが、今年もそこそこな数読んだな〜って感じなので、そこからおすすめを10作選びました。選定基準を一点だけ設けていて、今年1巻が発売された漫画という基準で選んでます。

なので、年末年始暇だなって人とかもこれ読んで気になったらサッと追いつけると思います。よければご参考に。では行きます。

 

クロシオカレント

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https://www.kadokawa.co.jp/product/322205000863/

今回選んだ10作品はいずれも異なった良さがあって順位づけは難しいところではあるんですが、今年良かった漫画を一本挙げろって言われたらこれ挙げます。

こかむも先生はもともと4コマ漫画を商業誌で描いていて、僕の知る限り長編作はこれが初めてだと思うんですが、とにかく絵がパキッシュッとしていて読んでて気持ち良いのと、街という一つの箱庭の中で不条理とSF(少し不思議)と殺伐とを繰り広げる世界観が大好きです。

僕は道満晴明先生が大好きなのですが、ニッケルオデオンとかヴォイニッチホテル好きな人は刺さるんじゃないかなー。

装丁がすごくおしゃれなのも高ポイントです。あとキャラデザが超かわいい。最高。

 

日本三國

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https://shogakukan-comic.jp/book?isbn=9784098510306

今回選んだ中で一番売れてる漫画かと思うんですがどうですかね?

最近は進撃の巨人とか、チェンソーマンとか、少年漫画でも結構シビアな展開や容赦ないキャラクターの退場が受けて入れられるようになってきてる気がしています。僕はキャラは如何に死ぬかが一番大事だと思っていて、死ぬ時が一番輝くと思ってるし、死を如何に表現として使うかを考えながら漫画を読むんですが、日本三國の一話はその点で言うとグッときましたね。

話としては、現代文明が荒廃したあとの世界で日本は三つの国に分かれて戦っていて、その中の一国に生まれた主人公が、自分の知力を武器にのし上がっていく軍記ものです。

知を武器にと言いつつも、スマートな感じはあんまりなくて、土の匂いがしてくる錯覚を感じるくらい泥臭いのがいいです。あと魅力的なおじさんがいっぱい出てくる。魅力的な壮年を描ける人は漫画が上手い人だなと思います。

 

ガチアクタ

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https://kc.kodansha.co.jp/product?item=0000365342

現行の三大少年誌の漫画で買ってるものってあんまりないんですが、ガチアクタはそんなうちの一つです。

僕はパキッとした線を引く絵が大好きで、例えば王ドロボウJING熊倉裕一先生とか、ism/iの空十雲先生とか、AKABOSHIの天野洋一先生とか、あとイラストレーターだとすばらしきこの世界の頃の野村哲也先生が好きなんですが、その路線で2022年に漫画を描く漫画家が出てくると思わなくて、嬉しさのあまりよだれをダラダラ垂らしながら読みました。

話やキャラクター設定としてはかなり王道なんですが、ガラ悪い世界観にベストフィットしているクールなキャラクターデザイン、グラフィックのデザインなど、ストリートカルチャーがモリモリに詰め込まれてて愛のある漫画だなと思います。

絵力がすごくてグイグイ引き込まれるシーンも多く、少年の気持ちでワクワクしながら読めます。オススメ。

 

霧尾ファンクラブ

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https://j-nbooks.jp/comic/original.php?oKey=260

切れ味のあるぶっ飛んだギャグ漫画を武器にTwitterでバズりまくっていた、地球のお魚ぽんちゃん先生がついに長期連載を始めたわけですが、案の定めちゃ面白かったです。

ギリを下品に攻めるギャグなのになんかサラッとして淡白なタッチの絵柄とのバランスで、不思議とあっさり読めてしまう、でもやっぱおかしいでしょこれ???という気持ちになる「節」が遺憾無く発揮されてて、ネタが尽きないのすごいなと思いました。

短編だからぶっ飛ばしてるもの描けるのかなと思ってたところ、ワンテーマの連載でもずっと面白くて感服の気持ちです。

 

2年1組 うちのクラスの女子がヤバい

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https://to-ti.in/product/erisawa

もともとトーチでこの前作にあたる1年1組〜を連載していたので、厳密には今年の新作ではないかもですが、まぁ1年1組〜の新装版も今年出たということでいいんじゃないでしょうか。

特に生活で役に立たない「無用」な超能力を持っている女子が集まるクラスで、超能力を中心に巻き起こるドタバタを描いた学園ものなんですが、ひとりひとりのキャラ設定がすごくしっかりしていて、なんならひとりずつ制服が違うところとかすごく作り込まれていてグッときます。キャラへの愛を感じられる作品っていいですよね。

群像劇をまとめ上げるのって大変だと思うんですけど、単話の中でそれぞれの生徒の掘り下げをしながら、回を重ねるごとに今までに出てきた生徒もしっかり話に絡んできて、読み進めていく中でどんどんクラスとしての立体感が増していくのが、すごく丁寧に描かれてるな〜と嬉しくなります。

ゆるめの絵柄なのも各キャラクターに愛嬌があってグッドです。めちゃくちゃ高校生の頃に戻りたくなった。こんな高校生時代などなかったというのに。

 

光が死んだ夏

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https://web-ace.jp/youngaceup/contents/1000183/

これも学生の話。この作品のすごいところは、多感な時期の少年2人の友情あるいはそれより一歩踏み込んだ先の感情のやり取りが、その一方が死んでしまった後の世界で描かれるところにあると思います。

それはもう既に果たされない感情になってしまっているけど、でもその相手は違う中身になって今も彼の見た目のままで生きている。ホラーまで行かないくらいのドロっとした妖しさと若さの輝きとが高い水準でせめぎ合っていて、この漫画にしかない世界観がしっかり打ち立てられているのがグッと来ます。

音楽の話で「新しいジャンルというものはもうほぼ生まれることはなくて、これからは既存ジャンルの組み合わせで新規性を提示していくのだ」みたいな話があるんですけど、漫画も近いラインに来てると思っていて、それをホラー+青春で実現しているのがすごいなーと思っています。

 

生活保護特区を出よ。

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https://to-ti.in/product/mantra-arya

トーチってWeb漫画のサイトがあるんですけど、創刊以来一貫してエッジの効いた漫画を連載し続けていて、それでお金を生み出し続けているのが本当すごいなと思ってるんですが、この作品もそんなトーチの中の一作品。

主人公はもともと平凡な学生だったのだけど、「お前は人並みにやっていくことができない」という判定を社会から下され、社会に入れなかった人たちが送られる場所、生活保護特区に送られるっていう始まりがかなりシビア。でも送られた先は今までと全く違う世界が広がっていて、みんな後ろ傷や何かを持ちながらも文化を築いて暮らしていて、一つの美しさを体現している。でも結局それは、真綿で首を絞めていくような、緩やかな死の集まりで生々しくて切ない。

定められた破滅に向かってトロッコは進んでいるんだけど、それを直視せずに現在を見て生きている。フィクションの中で語られるにはあまりにリアルなんですけど、それを嫌な気持ちにさせずに読ませる漫画としての引力があるのが、この作品の魅力だと思います。

 

猫のまにまに

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https://www.kadokawa.co.jp/product/322201000700/

ここまでちょっとジトっとした作品が続いてきたところですが、一転して、猫のまにまにです。とにかくスイーッと読める気持ちよさがいいですね。猫又に押しかけ女房されてる文筆家の二人暮らしを描く日常系って感じなんですけど、猫又の金子さんが可愛くて和む〜。

猫又は歳をとるほど人に化けた時の見た目が若くなる、という謎設定のおかげでロリババアばっかり出てくるのがフェチを感じていい。金子さんのファッションが綺麗系のお姉さんって感じなのにも並々ならぬこだわりを感じる。重たい漫画読みたくないときもあるからこういう美味しい山の空気みたいな漫画ってありがて〜って感じですね。

 

ことり文書

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https://www.kadokawa.co.jp/product/322201000704/

同じく美味しい山の空気枠。ハルタとか青騎士ってそういう漫画が多くていいですよね。あとみんな絵が綺麗。

おてんばで箱入り娘な中学生、小鳥とその執事になった生真面目な青年白石の二人が過ごす日常を微笑みの感情で見守る壁になりましょう。これを読んでいるあなたは壁。

漫画の中を通じて一切の邪気が払われていてとにかく純粋さだけがキラキラ輝いており、ずっと空気がうめ〜。

少女漫画っぽい繊細なタッチからちょっと崩したデフォルメまで、絵柄が安定して可愛い。とにかく浄化された気持ちになる。ことり文書を読んで子どもに挨拶とかする大人になろう。

 

異世界人生劇場

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https://yawaspi.com/isekaijinseigekijo/

ka92先生はTwitterに投げてる短編漫画がどれも面白くて、異世界人生劇場の連載が始まってからはずっと単行本が出るのを楽しみにしてたんですが、ようやく出たので嬉しい。

エビフライしか操れない死霊術師とか、エリザベスカラーつける魔族とか、そんなん思いついたらもう勝ちじゃん!みたいなキャッチーな設定がミチッと詰まっていて一冊の満足感がすごい。輪郭太めでトゥーンな感じの絵柄もショート短編の連作って形態にあっていて良きです。今更異世界もののファンタジーで新規性を狙いに行くようなものでもないと思うし、逆に色んなテンプレがみんなの頭の中に浸透してきた今にちょうどいい。あるあるとなしなしの境目で反復横跳びしながら笑わせてくれるおもしろ漫画です。とりあえず一巻買って、そういうのが欲しくなった時にちみちみ読むのにいいと思います。ニーズにドストライク。

 

まとめとおまけ

以上、今年の良かった漫画10作品でした。どれも面白いので気になったのから読んでみてください。

漫画買うの楽しくてどんどん買ってたら新刊をダブらせることがたびたび起き始めたので、今年から買った漫画の記録をアプリで取ってるんですが、これ結構良いです。今までもこういうブログを書こうと思ったことはあるけど、結局どれが今年読んだ漫画が分からなくなって諦めたこと多々ありなので。ちなみに僕は新刊リマインド用としてReadee、月ごとの購入冊数とか数値の記録用としてYomooの二つを使ってます。

今日の時点で今年買って読んだ漫画は大体100冊くらいらしい。まだ積んでるのとか奥さんが買ったやつ読んだのとかもあるから大体月10冊くらい読んでる計算?

100冊読んだら10冊くらいオススメしてもいいと思うんですけど、どうです…?

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ちなみに紙で買った漫画しか数えてないです。そもそもほぼ電子で買わないし、単行本派なので連載もリアルタイムで追ってないし大体全量かなぁ。

 

最後に、「今年1巻出た」という条件からは外れたけど今年読んで特に良かったな〜と思った漫画を挙げておくのでこれもよければご参考に。

一年お疲れさまでした。来年もたくさん漫画読むぞ。

 

  • 凛子ちゃんとひもすがら

  • イカ

  • 天幕のジャードゥーガル

  • アフターゴッド

  • 病める惑星より愛をこめて

  • ヒラエスは旅路の果て

  • 女の園の星