MFT#023 ダーリン・イン・ザ・フランキス

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2018年初頭から夏にかけて放映されたTRIGGER、A-1 Pictures共同制作の一大アニメ。キルラキル、プロメア、リトルウィッチアカデミアなどコミカルにグリグリ動くアニメーションでその地位を確固たるものにしたTRIGGERと繊細で美麗なタッチで知られるA-1 Picturesのタッグはそれだけで胸が熱いものがあったし、加えて君の名は、天気の子など今やその地位を確立した田中将賀氏がキャラクターデザイン、僕が個人的にファンであるイラストレーターのコヤマシゲト氏がメカニックデザインと事前情報からの期待感は十二分だった。

 

そして、第一話の放映日。リアルタイムで見ようと部屋を暗くし、しっかり椅子に腰掛け対峙したこの作品。その第一話の出来のあまりの素晴らしさにエンディングを迎えたタイミングで衝撃を受けすぎ、足腰がガクガクして立てなくなるという初めての感覚を得た。

使い捨ての少年少女+ロボットというテーマ自体はもはやアニメにおける一つの定型としてかなり使い込まれている形ではあるが、今作はそこに男女のタッグ要素を組み込むことによる人間関係の描写が白眉で、少年少女の関係性の根底に基づく「スキ・キライ」の要素、性への目覚めを意欲的に描き出している。

また、リアリティから一歩距離を置いた有機的なロボットデザインも今までにないもので、コヤマシゲト先生らしい、可愛らしさと扇情的な魅力を合わせ持った曲線がキビキビと動く様が心地よい。

 

放映当時に嬉しかったのが24話の2クルー構成だったこと。まずは1クールで8人の少年少女の関係性を丁寧に掘り下げ、まるで学園ものを思わせる柔らかな雰囲気に、シビアな戦闘シーンを交えることで、青春と命をかけた戦闘との二つの状況下に振り回される未発達な精神性を描く。2クール目は12話かけて物語の核心に迫る。おそらく2クール目の物語の飛躍っぷりに驚いたファンも多かったのか、初期の盛り上がりに比べ後半は若干減速したようにも思うが、きちんと彼彼女らの未来まで描いてくれたエンディングには個人的にかなり満足している。

エヴァエウレカと続きその先の枠がなかなか定まらなかったロボット+ジュブナイルストーリーの3枠目としてぜひお勧めしたい作品。ネトフリで見られるっぽい。