MFT#007 『Matador』Arms and Sleepers
人生の中で今の所一番聞いたレコード。
Arms and Sleepersはマサチューセッツの2人組エレクトロニカユニットで、このアルバムは2009年作。当時(2014年ぐらい)フォークトロニカという言葉を知ったばかりの僕はそれに準ずる音楽を探し歩いており、そんな中stiffslackで見つけた売れ残りっぽいこれをジャケ買いした。
ジャケットの雰囲気が物語るままの良質なポストクラシカル/フォークトロニカなこのアルバムは、聞くことで非常にリラックスできるアルバムで、一時期Vashti Bunyanやhammockと合わせて僕の入眠音楽であった。レトロで割れた音調のピアノを中心にストリングスで構成される今作は、どこか仄暗い厨二ズムをアルバム全体に宿しており、それも僕の嗜好に見事に刺さった。
ちょうどこのアルバムを買った頃は、大学の研修で東南アジアに行った時でその飛行機の中での期待・高揚を穏やかに沈めてくれる音楽としても機能していたことが記憶にある。ジャケットの通り、飛行機の中とも合う音楽。
このアルバムをきっかけにそれなりにArms and Sleepersが好きになり、以降の作品も何枚か聞いていて、そのどれもかなり嗜好に刺さる。エレクトロニカ色が強かった、『Swim Team』、それ以降ビート感を強めてヒップホップへの歩み寄りを見せた『Life Is Everywhere』、『Find The Right Place』など方向性の幅を持たせつつも、一貫してメロディに香る退廃さにDJ SHADOW的アブストラクトヒップホップみやNujabes的メロディアスさも覗く、結構日本人好みしそうな音像。
だけど意外と聞いてる人がいないのでじわじわ広めていきたい。
アルバムの詳細な内容は昔書いたレビューをご参照。
セピア色の記憶、傾ぐ郷愁の果て | cllctv. - コレクティブ
昔から自分のレビューのタイトルには小難しさと言い得て妙さを同居させたいと思っていろいろつけてきたけど、このタイトルは「かしぐきょうしゅうのはて」を読み上げる気持ちよさがある。