20200710_近況

ついさっきの出来ごと。友達といつものように通話しながらゲームをしてたら、同居人が僕を呼びに来た。なんでも、外から緊迫した声が聞こえてくるとのこと。少しの野次馬根性ともしもの事態の心配を持って外に出てみると、確かに叫び声というか、喧嘩しているような声が聞こえる。「警察呼んでください」と聞こえたと同居人は言った。

様子を伺っていたら仕事帰りと思しきサラリーマンが通りかかった。「聞こえましたか?」と声をかけてみた。聞こえてはいたようで、二人で声の出所を突き止めた。近所の飲食店の二階だった。いつも定休日でも鍵を閉めているだけのその店が今日に限ってシャッターを下ろしていた。なんとなくレアケースが重なったことが不気味でただごとでないように思えた。そのサラリーマンには呼び止めて申し訳なかった旨を謝り、まだ喧嘩のような声がしていたので110をコールした。生まれて初めてこの番号に電話をかけた。

「事件ですか?事故ですか?」と聞かれたので、「多分、事件…です」と言った。「警察呼んでください」と聞こえたと伝えたら、「それは…『警察呼んでください』ですね」と言われた。一応110という番号にはそれなりの重さがあり、ここにかけるオオゴト感が多くの人にダイヤルさせることを戸惑わせるのだなと思っていたし自分も少し緊張したけど、その当たり前すぎる返しに自分がコールしたことが大袈裟でなかったのだなという安心感を得た。

 

通報を終えたので自分は家に戻ったが、なんとなく心配にはなるもので、タバコを買うついでに様子を伺った。警察がいて話を聞いていた。おそらく喧嘩がヒートアップしたのだろうなと思う。なんともないのならそれで良かったし、でももしものことを思うと呼んで正解だったなと思った。

でも、きっと僕が通報しなかったら誰も通報しなかっただろうなとも思った。人が無関心なのか、僕が悲劇を想像しすぎているのかはよく分からない。

 

実は数ヶ月前にも夜中に大声で喧嘩する声が聞こえたことがあった。あの時は割とすぐ静かになったので、そのまま寝たのだが今思うと同じ人たちの声だったのかもしれない。

 

僕の住んでいる街は、酒に酔って喧嘩する声が聞こえたり、真夜中に大声でJPOPを歌いながらチャリで走り去っていく若者がいたり、若干不安定な雰囲気がある。おそらくこの街自体がここで生まれ一生を終える人々によるローカルさ、土着的さというか、生活に不安定さを抱えているというか、そういう街なのかなと思う。

そういえば以前うちに来た友達が、「新宿からここまで、駅を過ぎるごとに空気が淀んだ」と言っていた。こんなに神田川が綺麗なのに、淀むも何もないだろうとは思ったけど、まぁ分からないでもない。街としても家としても好きな場所なので大きく支障はない。

人がいれば諍いは起こるものだと思う。

 

一連の出来事でなんだか心がざわついた。同居人も同じで手持ち無沙汰だったようで、今まで書いていなかった給付金の申請書を二人で書いた。

 

外を見てみた。警察が増えていた。まだ話し込んでいるようだ。なんのために呼ばれた応援なんだろう。何かまずいことがあったのか、何かが起きた場所にみんな出動してくるのか。でも隣人が喧嘩しようと、その勢いで何か間違いが起きようと、明日の仕事のために僕は眠るしかない。いつもの薬を一錠飲んで、窓際のベッドで外の様子を伺いながら。