MFT#022 Platycerium ridleyi

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壁掛け型のインテリアプランツとして近年流行を感じるビカクシダ。その中でもリドレイは上向きに持ち上がった枝分かれした胞子葉とキャベツのようにくるまる貯水葉がかっこいい、スター的な種だと思う。

陽の差す家に引っ越し、壁掛けタイプの植物の育成も不可能ではないと踏んだ僕は、ネットの海を放浪、そこで見つけたのがリドレイだった。ビカクシダは麋角羊歯と書き、麋角とはヘラジカのツノを示す。リドレイはそんな彼らの和名の典型であり象徴的なルックスであると言えるだろう。

ビカクシダは胞子葉と、貯水葉と呼ばれる2種類の葉を展開して生長する。胞子葉は株元を守るように、着生する木の肌を包み込むように展開し、その名の通り、時に雨の受け皿となり、水分の蒸発を防ぐ貯水的な役割を持つ。胞子葉は貯水葉の中心から伸張する葉で、十分に育った株は葉に胞子をつける。シダなので胞子で増えるのだ。

 

この株の購入は去年の秋。横浜で開催されたエキゾチックペットの販売イベント、BLACK OUTにダンゴムシ目当てで行った際に見かけてつい購入してしまった。これらの植物は一様にしてそれなりに値段が張るのが通例であるが、僕が見つけたものは現地の山採り株であり価格は1500円。叩き売りに近い。よく吟味し状態が悪くないと判断した上で購入した。

山採りによって現地の山林の環境にダメージが及ぶという話はこの手の趣味を持つ人間の耳には一度は入ってくる話であり、実際にそれに加担してしまうことは躊躇われた。だが結局のところ安さに負けて買ってしまった形になる。

ちなみに購入時はまだ貯水葉も胞子葉も伸びていなくて、少し心配な感じではあった。

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なんやかんや丈夫な植物なようで、半年で間違えるほどしっかりした佇まいになりまずは一安心というところ。

ビカクシダはコウモリランという和名でも知られる。当然のことながらランではないのだが、古くにおいて、海外から輸入された珍奇な植物をとりあえずランと名付ける流れはなんとなくわからないでもない。ちなみにコウモリの由来をよく示しているのはPlatycerium bifurcatumなどだろうか。これらの種は胞子葉が垂れ下がり、実にコウモリの羽に似ている。

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左端がビフルカツム。この春先のドームラン展で購入した。これも購入時から比べてメキメキと葉を伸ばし頼もしい。

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この写真の左下からものの3ヶ月である。

 

これらの植物は日差しと水分さえあれば容易に育つしとても存在感もあって可愛い。明るい部屋のインテリアとして愛でるに最適な植物に思う。