なぜ人は口にザリガニを飼いたいのだろう

最近Twitterで流行ったやつです。 これこれ

これ、皆さんどう思いました? 結構試したくなりませんでした? 僕もなったんですけど、これ実際、何がそこまで我々をザリガニに駆り立てるのでしょうね。

だって、口に突っ込んで水をわーってやるとわーって口の中にザリガニがいて、わーってなるわけじゃないですか。

怖くね?

何が人をザリガニに駆り立てるのか

僕は、この商品が最近バズったのは、新しい気持ちよさの提供が起こったからじゃないかなと思いました。 昔流行った鼻の角栓パックとか、爪の甘皮剥くやつとか、ピーリングジェルとか、それと似た構図だと思うんですよね。 これ、売り手的には、いくつか押さえているポイントがあるんだと思っています。 下に思いついたのを並べてみます。

  • その体験に気持ちよさ、爽快感が伴うこと
  • その効果が、五感のいずれかで体感できること
  • その体験が新たな価値提供であり、なおかつ生活に必須でないこと

一つずつ説明してみます。

1.その体験に気持ちよさ、爽快感が伴うこと

これはこのままですよね。角栓を取るとイチゴ鼻じゃなくなって気持ちいいですよ、とか、爪の甘皮切ると爪の見栄えが良くなりますよね、とか。 これは今回の口の中ザリガニ製造機だと、口の中きれいになって気持ちいいよね、みたいな感じかなと。

人って、粉瘤とかニキビつぶすのとか、耳かきしてる動画とか、角栓をにゅるってやる動画とか好きじゃないですか。 ここで大事なのって、スポンッって角栓やらが抜けたのを見た時の爽快感だと思うんですよね。 そうじゃなきゃなんでわざわざ他人の蓄積した老廃物が排出される瞬間を見なきゃいけないのかと。 これを自分で体験できる形にすることが大事かなと思うわけです。これは2にもつながりますね。

2.その効果が、五感のいずれかで体感できること

角栓や甘皮は目で見て取れていることがわかりますよね。ピーリングジェルも顔に塗るとぽろぽろしたものが取れてきます。 そして、それらを見てうぉーっとなるわけです。 しかし、今回の口の中ザリガニ製造機は、目で見てわかる成果は血が出るくらいしかないです。それはすでに歯間ブラシとかでやられてる。 そこで、口の中ザリガニ製造機は今までの機器では届かなかった汚れを一気にかき出し、しかもそれを口の中にまき散らすことで、嗅覚を使って体感させようとしたわけです。 見事にもくろみは成功し、みんなやれザリガニだザリガニだというようになったわけです。

3.その体験が新たな価値提供であり、なおかつ生活に必須でないこと

これは少しうがった見方かもしれませんが、まず何よりも1,2から得られる体験が、今までになかったものであることはとても重要です。新ジャンルを築き上げるのです。 そして、そのうえで、それがあってもなくても生活に影響しないというのが結構大事だと僕は踏んでます。 ここでは、売り手がいかに客を教化できるかが非常に重要だと思っています。

いいですか、僕がこの文中で挙げた、鼻パック、甘皮剥き、ピーリングジェル、いずれも宗教です。 これをしなかったら不健康になったりはしない、いわば生存に必須ではない。 でも、やると気持ちいい。そしてそれが日常的に行われるようになる。

ここが肝だと思うんですよね。 口の中ザリガニ製造機も、バズっていろんなYoutuberがやってみたりしてますが、みんな一様に口の中にザリガニがいることの証明に使っているわけなんですよね。誰もこれで歯周病ケアしようぜ!とは言ってないわけです。 そのあたりは古いアマゾンのレビューを見ると、先駆者の皆さん方が効果を書いてくれているので、これ自体がただザリガニを発見するためのものではないというのも、もちろん忘れてはいけない事実ですが。

マーケティングにおける新たな価値創造とは

今回の一連のバズりは、そのまま、価値創造とか、商品開発とかにあてはめられるように思います。 大事なのは、新しいこと、気持ちいいこと、刺激を伴うことです。

消費者に鮮烈な価値体験を与えて、商売で勝ち上がっていきたいですね。

僕は個人的には、 人の毛穴に住んでいるダニ(ニキビダニ)

karapaia.com

を可視化するキットとか流行るんじゃないかなと思っています。

みんなのお顔の可愛い同居人(⋈◍>◡<◍)。✧♡的な。

どうですか、キンチョーさんとか。

これでバズって顔を燃やす人とか出てきたら熱い展開ですよね、燃えてるだけに。

追記

ちなみに僕も口の中ザリガニ製造機試してみましたが、とくに血も出ず、ザリガニもいませんでした。 みんな毎日の歯磨きをしっかりやろうな!