MFT#005 シマヘビ(パターンレス)

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僕の家でレオパの次に長くいるペット。シマヘビ(Elaphe quadrivirgata)はおそらく本州で見かけるヘビとしてはアオダイショウと並んでポピュラーなのではないだろうか。ちなみに日本固有種である。

国産のヘビで最もペットとしての流通・繁殖が確立されているのはアオダイショウで、その中でも北海道産の青味が強いものはエゾブルーと呼ばれたり、アルビノも作出されていたりなどペットスネークとしての地位を確立している。一般的に穏やかな性格とされていることも、アオダイショウがペットとして適している理由なのではないだろうか。

ということは、という話になるのだが、シマヘビはアオダイショウと比べるとかなり性格が荒っぽいとされている。また、ヘビ食性も強く(最近ツイッターマムシを捕食している写真を見てかなり驚いた)、繁殖を目的としていた同居がそのまま同種食いにつながってしまうことなどもあるらしく、繁殖のハードルが高いらしい。そんなわけで、シマヘビとしてペットルートに出回るものはまだまだWC(野生下の捕獲個体)が多いと聞く。

 

シマヘビの中で一般的に色彩変異として出回るのは、目も含めて真っ黒になる黒化個体であるカラスヘビが多い(カラスヘビとは黒化したシマヘビのみに限った呼称ではないらしいので全く正しい呼び方ではないけど)。僕のところにいるのはパターンレスとして販売されていた南紀産の野生個体で、2017年のナゴレプにて、レプティリカスのブースで購入したもの。シマヘビなのに全然荒くないという触れ込みと、ここまでシマが綺麗に消失した上に、緑茶のような緑が出ている個体は見たことがなく、物凄く心惹かれ購入した。これが僕にとってのはじめてのヘビとなった(厳密にいうと孵化直後のヒバカリを少しの期間飼育していたことがあったので2匹目か)。

 

たしかに全然荒っぽい性格ではない。飼育を始めて3年半ほど経ち、最近は人影を見ても威嚇したり怯えたりしなくなり、冒頭の写真のようにリラックスして写真に映ってくれる。シマヘビらしい燃えるような目の赤さと身体の落ち着いた緑の対比が美しい、自慢のペットである。

シマヘビはこの目の赤さと大きさが顔の凛々しさを引き立たせていて、国内の蛇の中でも有数の「顔のいい」ヘビだと思う。

親バカ的な部分もあるものの、ここまでハッキリとシマのないシマヘビはなかなか見られないのではないかと思う。よく潜りたがるので鼻先がスレているのだけ少し可哀想だが、健康には問題ないと判断して特に対策は取っていない。

 

さて、シマヘビというヘビはおおよそ初心者が手を出すべきものではなかったというのが、購入した後の気づきだった。しかも野生個体である。シマヘビ+野生個体、この二重苦の何が大変かというと、エサやりである。

この個体は荒くない代わりにというか、エサに対する闘争心が全然なく、ピンセットからの給餌には未だに成功したことがない。飼い始めて2年弱は強制給餌と言って、ヘビの口を開けさせ、そこにマウスをねじ込んで吐き出さないようにしごいて飲み込ませるという方法で餌を与えていた。なんとか手に入れた生きたネズミも全くダメだった。おそらく野生下ではカエルを捕食していたのだろうけど、カエルの安定供給も難しく、この方法でなんとか餌を取ってもらっていた。

転換期がおおよそ一年ほど前、インターネットから、「自力で餌を食べないヘビは茶色い紙袋にネズミと一緒に入れて一晩置いておくと食べる」という情報を得た。まさかと思いながら試してみたところ、なんと翌朝にはネズミがいなくなっていた!これによって、無理やり餌をねじ込むような給餌からは卒業することができ、今はこのやり方で餌を取ってもらっている。以前より大きなサイズの餌も与えられるようになったことで、購入時よりは身体つきもしっかりしてきたと思う。

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ちなみに名前はない。生き物に名前をつけるのは気恥ずかしくてあまり得意ではない。ので、シマ氏などと呼んでいる。繁殖も意識したことがないので、正直オスかメスかも分かっていない。かわいいしかっこいい、からそれで良い。