MFT#015 アルカイダウォッチ(パチモン)

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今でこそチープカシオ、チプカシ等の愛称でファッションアイテム化しているカシオのデジタル腕時計。

身内でこの流行があったのはチプカシとして世に流行する少し前で、ある日サークルの同期がつけていた時計を「これ、オサマビンラディンとお揃いなんだよね」と言ったことから、一気に「ウォー!!かっこいい!!!」の輪が何故か広まり、僕含めた複数人が身につけ始めた。チープカシオの白眉なところは、シンプルながら洗練されているデザイン、身につけていることを感じさせない軽さ、長命な電池寿命と枚挙に暇がないが、特に僕に刺さったのは、「防水だからつけっぱなしで生活できる」部分である。あまり衛生的な話ではないが。

 

この安価かつ高機能、高耐久な腕時計は瞬く間にサークルの中でブームになり、みんながつけ始め、「アルカイダウォッチャーズ」などという謎のコピーバンドを結成し、中東のよくわからないバンドのコピーをするなど社会現象じみた熱狂を巻き起こした。それ故に、チープカシオとして世に知られるようになった後のツイッターで「チープカシオをビンラディンとお揃いとか言ってつけてるやつ、マジでオタクw」みたいなツイートがバズった時には人知れず血とゲボを吐いたものだ。

 

さて、冒頭に挙げた写真は見る人が見れば一発でわかる通り、チープカシオのパチモン(偽物、パクリの意)である。これは、ボルネオはコタキナバルに旅行に行った際に現地のショッピングモールに出てた謎の露店で買ったもので、現地の人間的にもまぁ売れねぇだろ案件だったのか、見つけた僕が気に入りすぎて購入した際には三度ぐらいマジで?みたいな顔で聞き返された。なんなら失笑された。しかも日本で本家を買うより高いしものの半年くらいで時計が狂って使い物にならなくなった。それでもこの可愛げな配色は本家には出来ない暴挙だし、時計が狂った今も手元に置いてニコニコと眺めている。

 

チープカシオは聞きしに勝る剛健さがあり、大抵の場合時計が狂う前にベルトが切れてその生を終える。今僕が持っているもの(正規品)もおおよそ5代目くらいになり、それなりにヘビーユーザーであるはずだが、後にも先にもベルトが切れるより先に時計が狂ったのは、この頭悪い配色のパチモンだけだった。故に愛らしい。