MFT#027 サークルの先輩の自作エフィクター

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僕のいたバンドサークルは演奏をする側に留まらず、その音を作り上げる側に興味を持つ人も多かった。小さなライブハウスくらいの量の機材を所有していたサークルだったので、照明を頑張る人、PAの勉強をする人などさまざまで、新入生はみんな一度はライブ設営のための結線の仕方やシールドの巻き方まで教わる、そういう場所だった。そんな中、先輩に一人電子工作に非常に長けている人がいた。アンプが故障した際などの修理はその人が一挙に請け負ってくれていたことで、サークルの財政的に助かったものはどれほどか。サークル所有のツインリバーブは、その人の趣味でLEDの色が変えられていてそれもカッコ良かった。

 

若干身の回りで自作エフェクターが流行った時に、僕も一度は自作エフェクターを作ってみたいと思い、その先輩に頼んで制作講座を開いてもらったことがあった。ネットで拾った回路図をもとに、Garretaudioでパーツを注文し(まだあるんですね、びっくり)、先輩の指導のもと組み上げた。その人はどちらかというとポストロック好きの人だったけど、何故かその日の先輩の家はDream Theaterの名盤『Train of Thought』が流れていて、それきっかけにDream Theaterを聴くようになった。LITEやnuitoなんかを教えてくれたのもその先輩だったような。

 

さて、僕が作り上げた素人エフェクターはまぁ良いとして、先輩は既製品のエファクターをバラして回路図を作り、コピーエフェクターを作ることもしていて、その一環として制作されたのが、今日のエフェクターである。ART-SCHOOLの戸高氏のハンドメイドブランドであるphantom fxより『Bells』のコピーで、それをもじったネーミング。ちょっと時系列が怪しいが、僕の描いたイラストを使って先輩がエフェクターを作りたいと言ってくれた時があって、そのイラストを渡した礼にともらった物だった気がする。すごいな、釣り合ってなくない???

 

クランチ〜オーバードライブ的に使えるこのエフェクターは、きらびやかでキンキンカラコロとした単音から、コードで鳴らしても分離感良く弦一本ずつに歪みが乗るようなきめ細やかさがあり、手にして以来ずっと僕の中で不動のメインエフェクターだ。これのあとにもう一つ作ってもらった、ディストーション〜ファズ系のエフェクター(ツマミを何時に切るかでディストーションとファズとが切り替わるエフェクターで、僕はいつもファズ寄りにして使っている)とリトルビッグマフ。この3つが僕の不動のラインナップだ。ビッグマフは歪みがきめ細かくてシューゲイザー味の強いリトルが僕は好きです。

 

DIYに何でもやり切ろうという精神があったあのサークルの中でそれを常に体現していたこの人を僕はかなり尊敬していて、いろいろ影響を受けた部分も多い。ちなみにこの先輩は今VRに目覚め、超ハイクオリティな3Dモデルを錬成している。カッコいい。