MFT#026 Tough TG-5

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生き物屋御用達感のある、ハイパーマクロデジカメ、TG-5。

自分はカメラに対するこだわりは薄く(あまりに深い沼なのが見えているので寄らないようにしている)なおかつ撮影するものはかなり限られている。虫である。なおかつ、モノの扱いがそれほど丁寧でない人間なのである程度ぞんざいに扱えるものであると嬉しい。と、そこにピッタリとハマるようなデジカメがあった。それがTG-5である。ちなみに現行はTG-6。

 

中学生の頃は山野草趣味が全盛期で、父親と二人でよく山に登りに行ったり、島に行ったりしてたくさんの花を見た。もはやモデルも覚えてないけど、父親の買ったコンデジを借りて、地元藤原岳の初春の花々の写真をたくさん撮った。礼文島に持って行った時には、ビクセンのポケットルーペも持ち込み、それとカメラのレンズを合わせてマクロ撮影を試みたりもした。たまに風景の写真も撮ったが、それは僕にとって訪れた場所の記録に過ぎず、足元の小さな生き物を描き出すことが昔から好きだった。

 

さて、昨年の年始、僕はボルネオ、コタキナバルにいた。自分の趣味の中心であるダンゴムシを現地で観察するためだ。出発前から虫や花など小さな生き物の観察に情熱を燃やすことを決めていた僕は、それらを写真を収められる、マクロ撮影に特化したデジカメを探していた。新宿のヨドバシカメラで見つけたのがTG-5。まさにお誂え向きの性能でその場で購入。あとあと生き物屋に取ってはかなりメジャーなカメラであることを知った。

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上記は全てボルネオで撮った写真だが、なんやかんや近いものから遠いものまでそれなりによく撮れるカメラだと思う。僕はディフューザーを持っていないので、光源に乏しい場合のマクロだと粗が出るものの、野外で撮影する分には結構いい。ダンゴムシ探しに行ったんじゃないの?写ってなくない?という話だが、見つけはしたものの満足のいく写真が取れなかったというオチ。

少し話は逸れるが、土壌生物というのはとても厳しいニッチの奪い合いをしていて、体躯の大きくないダンゴムシやワラジムシはなかなか厳しい戦いを強いられる。熱帯雨林行けばいくらでも見つかるだろうと思っていたダンゴムシもついぞ最終日まで発見できなかった。よくよく考えれば分かるのだけど、東南アジアの熱帯雨林における土壌環境の覇者はヤスデ。ピンポン球よりも大きいようなヤスデがいる場所で、爪の先ほどのダンゴムシが獲得出来る支配圏などたかが知れていたということかと思う。

とまぁ、そんな話は良くて、安くはないけれども一つ持っておくだけで水中にも対応でき、一気に自然観察が楽しくなるカメラだ。もしこれを少年期に手にしていたら僕の人生は違う狂い方をしていたのかもしれない。