20201011_近況

9月末をもって、仕事でしばらく関わってた案件が終わった。

去年の12月くらいからなので実質10ヶ月くらいの案件で、僕にとっては初めて社外のクライアントと接する仕事だった。客先常駐になって、そこが22時退勤必須なために仕事が間に合わない時は朝7時とかに出社したり、初めて休日出勤をしたり、なにかと仕事の「仕事っぽさ」を体感する案件だった。

お客さんと何かを作っていく、というのはとても難しくて面白いことだなーとぼんやり思ったりもした。客先でも良くしてもらえたし、我々の印象もかなり良かったようなので仕事自体はやりがいを持ってやっていたと思う。

案件を去るタイミングで半年ぶりに客先に顔を出し、最後の挨拶、そしてなぜか記念撮影までするという柔らかさを目の当たりにして、日々僕の周りの人々が異口同音に語る、「弊社として担保すべきクオリティ」へのプライドがこうして信頼を生んでいるんだなーと感慨を深めたりした。

最後の挨拶でなんて言っていいか分からず、「リリースまで頑張ってください」っていうなんか上から目線っぽいコメントを残してしまったことだけいまだにちょっと恥ずかしい。いつでも思い出せる過去の恥シリーズに加わった一瞬な気がする。

 

そして、10月からは次の案件が入るまでの空白が少しあり、そこを見計らって9連休を作った。今日はそれを満喫した最後、9日目ということになる。

前回のブログでビルが欲しいみたいな話をしたのだけど、それがちょっと具体化してきて、最近は内見に行ったり、キャッシュフローの整理をしたりしている。みんな本業を持つ人間が住居以外の賃貸物件を抱えるためにはどう動けばいいのか、みたいなところはしっかり詰めて行かなきゃならないところである。形になったら面白いと思うので引き続き頑張っていきたい話。

 

9連休ずっと家は流石につま先から腐っていく気がしたので、ちょっと遠出の予定を立てた。でも今行きたいアミューズメント施設や土地も特になかったので、ド平日二日かけて、名古屋と大阪の友人を巡ることにした。

 

1日目の名古屋は、まず僕が(かつて年100杯ラーメンを食っていた僕が)どのラーメンよりも敬愛し崇拝する名店、ら・けいこのラーメンを食べることから始まった。

非常に平たく言えば二郎系なのだけど、うどんとみまごう太さとコシの麺、醤油がバキッと効いた醤油豚骨のスープの組み合わせは他のどこの店にもないもので、一説によるとらけいこの界隈がある故に名古屋には二郎が進出して来ないとかなんとか。うますぎて丁寧な写真をTwitterに上げたら30とかいいねされてちょっと戸惑った。

そのあとは今年になって移転し、ライブハウスとの併設営業に移管したstiffslackに向かった。らけいこ⇆stiffslackの連絡は、stiffslackが女子大通りにあった頃しょっちゅうしていたのを思い出す。新店舗では広く、明るくなった店内に中古も含めた今まで以上の品数のレコードやCD、カセットが並び、より一層ベニューとしての強さを増していたように思う。stiffslackは僕の音楽体験において外すことのできない、根幹を作り上げてくれたショップなので新天地で益々の発展を祈りたい。

続いては夕方の予定まで時間があったので、東山動物園へ。

雨の動物園に人なんているわけなくガラガラだったけど、僕の大好きなキリンが濡れそぼっているのを見られただけでも行った価値はあったと思う。僕がキリンの美しさに気づいたのは、動物園徒歩5分圏内に住んでいながら6年目のことで、あのだだっ広いエリアに背筋をすくっと伸ばし、背景の住宅街や青空とも相まった不思議な魅力を醸し出すそのキリンの凛々しさは、30分でも1時間でも目の前のベンチに腰掛けていられるほどだった。

あとは世界のメダカ館も行けて良かった。あんなマニアックな水族館は多分日本でもあまりなくて、水族館行く以上に熱帯魚店に行くのが好きな人には深く刺さる施設だと思う。

動物園を出る時は絶対に閉園のアナウンスと共に去るのがいい。あの哀愁はなかなか他で味わえるものじゃない。

次は大学時代からの馴染みのカフェ、drawingに行くつもりだったのだけど、まだ少し時間があったので博士で大学に残った友人を訪ねた。ちょうど博士に再入学した友人とも会えて、少し研究への懐かしさと憧れが生まれた。大学院生時代、あんなに辛い気持ちで向き合っていた研究をまたやりたいと思うのは、まさに時間の為せる業だなと思う。

drawingではかき氷を食べながら店長、亮平さんと近況を話した。梨と栗のあいがけ、さっぱりしてとても美味しかった。コロナで難しかった時期も無事乗り越えられたようで、安心する思いだ。このカフェは、先代、今の2代目店長のどちらも僕のいたサークルのOBであって、過去にcllctv.のインタビュー企画やサークルのアコースティックライブなど、色々なイベントを行った関わりの深い場所だった。作り手の工夫と努力によって、そういった温かい場所が守られて行っているのは、帰る場所が用意されているようで嬉しく思う。

夜は僕の学生時代のバイト先で、サークルの先輩から後輩まで入り乱れて酒を飲んだ。平日にも関わらず、半分くらい社会人にも関わらず、なんだかうまいこと歯車が噛み合って10人以上も人が集まり、とても楽しい会になった。店内でタバコが吸えなくなっていたり、年上年下問わず結婚話を聞いたり、山本の家の犬が死んでしまっていたり、変わるものはあったけど、サークルという枠で集まるといつでも話が尽きることがないのはとても嬉しいことだった。未だにサークルという繋がりを定期的に求めてしまうのはこういった波長の合い加減によるものなのだろう。

「社会に出た時これくらいの人間性の濃さ(平たく頭おかしいと言ってたけど)の集団が存在するのか」が来年社会に羽ばたく博士、山本の心配事だった。おそらくあのサークルにある程度のめり込んだ人間であれば、そのほとんどが首を横に振るのではないかと思う。それくらい、名大フォークという空間は気持ち悪い傷の舐め合いと内輪の盛り上がり、切磋琢磨で出来ていた。というのはあまりに卑下した言葉だけど、実際色々なコミュニティで若干浮いている人間やはみ出ている人間がなんか集まってなんか真剣にやってて上手いこと行っているサークルなので、あの居心地の良さをこれから先の人生に見出すのは結構大変なんじゃないかと思う。でも社会出ても楽しい人はいっぱいいるからそれなりに大丈夫だと思うよ。いざという時名大フォークの誰かと飲める距離感にいればなお安心。

夜は山本の家に泊まり、終電をなくした河田と3人で音楽を投げつけ合う会をした。音楽が好きな人間が2人以上集まると、「最近良かった音楽」から始まり、スピーカーを奪い合うように音楽を勧め合う時間になりがちなのだけど、毎度この時間は豊かだなと思う。とりあえずちゃんとlamb of god聴こうかなと思った。

 

朝に起きるつもりが起きたら昼前だった。二日目、金曜日は大阪へ向かう。この日の予定は、cllctv.でのインタビュー以来、企画に呼んだり日々Twitterで絡んだりとオンラインオフライン共に仲良くしているcolormalことイエナガと飲むことだった。逆に言えばこのためだけに大阪に行ったという話でもある。本当にやることなかったんだな。

僕は名古屋大阪間の移動は近鉄が好きで、バスよりは早く新幹線よりは遅いスピード感(他それに準じた価格設定)や、座席の高級感から感じる小旅行感がちょうどよく楽しい。特急ひのとりという特別便に乗って、まったりと大阪に着いたのが15時過ぎ。流石に夜まで時間があるので海遊館に向かった。

海遊館は小さい時に行った以来だったけど、環太平洋造山帯になぞらえた展示と、深さのある水槽を螺旋に降らせ、表情を変えさせながら何度も見せるという工夫が、この文字列から受け取れる印象以上に巧妙でとても楽しかった。時間が遅めだったので途中から夜向けの照明に切り替わったのだけど、薄暗くて没入感が増したので圧倒的に夜の方がおすすめ。

展示種数は多くないけど、海に潜っていくようなストーリー性のある展示はここにしかない強みだなと思った。近くにあったら定期的に行ってると思う。ただ関西人のカップルはやたら声がデカくて疲れるので、関西以外にあればもっと良かったなと思いました!!

夜は予定通りイエナガと合流し、彼らの練習があるというので、それを見学しにいくことになった。とは言ってもライブハウスを借りての練習なので、言うなれば(言うなれば、ね)僕一人のためにcolormalというバンドが2時間演奏してくれるのを見られるようなもので、なかなか贅沢だったなと思う。タバコも吸えるし酒も飲めるし、こんなライブハウス今時ないよね、ラッキー!いつかcolormalがめっちゃ売れたら自慢しようと思う。演奏もすごく良かったからほぼライブ見てるようなもんだったよ。

そのあとはイエナガ宅へ。彼の家には音楽以外の娯楽がほぼ無くて、音楽を作る人間はやっぱりそれ以外の娯楽から遠ざかるのかなと思った。「ゲームがあるとやっちゃうから置かない」と言ってる音楽家は僕の周りに複数人いるのでこれは割と信憑性がある話かもしれない。

晩酌用に作ってくれてた煮物や作り置きのおかずがとても美味しく、かなり歓待を受けた気持ちになった。そのおかずの味付けが完全に酒飲み用で、実際炊飯器すらない家だったので、「生活感あるのか無いのか分からんくて怖」と思った。緑茶パックとキンミヤで作る緑茶ハイもめちゃ体験として良かった。

ここでもやはりお互いの音楽の持ち玉をぶつけ合う会になった。教えてもらったSACOYANSめっちゃカッコよくて帰り道に聴いてた。収穫。あと大名曲『大きな怪獣』の弾き方を教えてもらったんだけど、コードが多かったのでイントロ以外忘れてしまった。部屋でタバコ吸える環境だったので、旅館にありがちなせり出したタバコ吸えるエリアに居る気持ちになった。

音楽投げ合戦は深夜まで続いた。

翌日、彼らはライブだったので会場近くまで着いて行ってそこで解散となった。本当はライブ見られたら良かったのだけど、台風で新幹線が運休になる可能性が残ってたので早めに帰ることにした。教えてもらった百薫香辛食堂のカレーを食べて帰った。スパイスカレーの街大阪の息吹を感じられた。とても深くて美味しかった。

新大阪東京間って思ったより長くて、寝ても寝ても着かなかったけど、なんとか夕方には家に着き、寝に寝て今日に至る。9連休も終わる。

 

人と会うことを求める気持ちがかなり高まっていたのがこのコロナ下での生活で、実際にそれを行動で発散できた良い休暇になったと思う。逆にこれくらい人に会いたいと思ってなければ大阪まで出向かなかったかもしれないので、環境というのは至って人に作用するものであるなと思った。

以上、ここ最近の記録。